フグ

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わたしは山口生まれである。父親も母親も山口生まれ、山口育ちである。そして2人は山口で結婚し、わたしは3歳くらい(具体的な歳は覚えてない)までは山口で育った。でも、わたしには下関に行った記憶がなかったし、親からも下関に行ったという話を聞いた記憶もなかった。その下関に、昨年末旅行をしてきた。

別に過去の記憶を辿るためとか、そういう理由があったわけではなく、長女が飛行機に乗りたいと言っており、そういえば長女は生まれてこの方、飛行機に乗ったことがなかったので、里帰りに合わせて飛行機に乗るプランはどうかと、旦那さまと計画を練った結果、下関になったのである。

正直なところを言うと、わたしの頭には関門海峡からの景色とフグしか頭になかったのである。昨年末、うちの家計簿と相談すると、目標の貯金額を達成したうえでまだ余裕があったので、「年末にちょっと贅沢しちゃおうぜい〜!」と調子に乗って決めた下関旅行であった。

飛行機も、フグも、自分の今までの生活から考えると、贅沢な話であったので、なぜかそんな贅沢話をブログにアップすることが躊躇われたのは、きっと、わたしが小心者であるからであろう。

そんな小心者のわたしが、下関で見つけたもの、それは関門海峡とフグ以上のものだった。例えば、角島。旦那さまが下関の観光情報を調べて行くことになった角島。

青く澄みわたる海の上を、美しい曲線を描いて道路が走っていた。

南の島かと思うような水の綺麗さだった。本州にも、こんなに水が綺麗な場所があるとは、知らなんだ。

そして、その美しい景色を見て、自分の心の狭さを知るのである。世の中、心を満たしてくれるものは、フグだけじゃない。自分の知らない美しいものが、まだまだあるのだと思い知らされる。

たしかにフグは美味しかった。次にフグを食べれるのはいつになるだろう。また食べたいが、当分は食べられないだろう。

この下関旅行のフグの味は、美しい角島の景色などの下関の思い出とともに記憶に残った。きっと、次にフグを食べる時は、この下関旅行の思い出が蘇ることだろうと思う。