父のフィリピンへの旅立ちにも行けず。

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父がフィリピンに単身赴任することになった。もう少しで定年という歳での旅立ちだ。それは、見送りにいきたいと思うだろう。それがだ。あたしは飛行場に入ることを許されない。

それで思い出した。昔、家族の中にいても寂しさを覚えていたことを。

不思議なもので、家族と仲良く話せているときでさえ、「あー仲良く話せてよかった」と思ったものだった。気がつくとひとりで部屋から家族の笑い声を聞くことがあって、そんなとき、孤独を感じることがあった。

誰でもあることなのかもしれない。

でも、今の家族に会えない状態を説明するのに、そんな過去を思い出したって話。

例えばわたし自身の問題だったとしても、わたしは、わたしをどうしたらいいのか分からない。

わたしにはわたしの生き方がある。

ただ、それを貫こうとすると孤独になるのか。

自己中は孤独になる…ただそれだけのことなのか。

無性に怒りがこみ上げてくる。

父の飛行機の見送りくらい行かせてくれ。

あんたが体調悪くなろうが、そんなの知ったこっちゃないわ!

そう思うが、他の家族に迷惑をかけるのも悪いので、見送りにはいかないことにした。

わたしみたいな人生は、お腹の中の赤ちゃんには送ってもらいたくない。

そう、切実に思います。