無題

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前、会社の先輩と飲んだときにこんな言葉があった。

『人は生まれるときと、死ぬときは独りだけど、生きているときは独りじゃないからね』

簡単に言えば、わたしは何かを考えるときに『いつかは死んじゃうからね、だから、どう生きようか考えよう』という考え方で物事を考えていたのだけど、この先輩の言葉を聞いてはっとした。

つまり、わたしは『生きるということは基本独り』であることを前提に考えていたのだけど、先輩はそうではない。『生きている間は基本独りじゃない』という風に考えている。

それは、わたしの中では実は結構大きな発見で、なるほど・・・と感心してしまった。当たり前と言えば当たり前だけれど、わたしにとっては当たり前ではなかった、『生きている間は基本独りじゃない』ってこと。

そんなことに感心したという話から、今日わたしが話したいのは、一人暮らしを始めて、半年経って、わたしはついに、一人の物足りなさを感じるに至ったということ。少し前から、少しずつ感じてはいたのだけど、毎日何かが物足りないのです。

仕事も怒られたりして不満はあってもやる気は満々。休日は友達がいて、遊んで、最近は好きな音楽も始めて充実している。それなのに。何かが足りない・・・そういう感覚をここのところ感じていて、わたしは気づきました。

一人じゃつまらないなってことを。ご飯を食べるにしても、一人で食べるのは、味気ない。昔母が言っていたことを思い出す。『一人っていうのは、ほんとに味気ないなと感じていてね、お父さんと会って誰かと一緒に過ごせることが、ほんとに有難いことだと思ったのよ』。

そんな言葉の意味が少しずつ分かるようになった。

日に日に、わたしは母に似てきている。あれだけ、激しく喧嘩をして、「絶対にあんな風にはなりたくない」と思っていたのに、自分の中に母に似ている部分を多く発見して、わたしは驚く。そして、不思議なことに、昔はあれだけ嫌だと言っていたのに、母に似てきていることに、わたしは、抵抗がなく、当たり前のように自分の中に母と同じものがあることを受け入れている。

特に何かが言いたいわけではないのです。

ただ、昔感じていたこととは違うことを感じる自分がいるということ。

周りは変化していて、わたしも変化している。

そういうことを、ぼーっと、長年憧れた一人暮らしの部屋で考えました。