『なぜ僕らは働くのか』を読んで
在宅勤務後の夕方の買い物帰りにふと本屋さんに寄った時のこと。
急に、独身のころ、わたしは本屋さんをぶらぶらするのが好きだったことを思い出した。わたしは特に読書家というわけではないけれど、何か心にモヤモヤを抱えているときには、本屋さんをぶらぶらして、「今の自分には、これだ!」と思える本を探し当てるのが好きだった。
この日も、ちょっとそんな感じだったように思う。その時点で特に明確な悩みがあったというわけでもないけれど、かといって何かモヤモヤするものもあり、漠然と、「何か今の自分にグッとくる本ないかな~」と思って平台に陳列されている本を眺めていると、『なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』という本が目に留まった。
池上彰さん監修の本だ。池上彰さんと言えば、最近、テレビに出ていて、随分とお年を召されたことに驚いたばかりだ。子どもの頃は、週刊こどもニュースを家族で見ていたのを覚えている。
本を手に取って、ちょっとパラパラとページをめくってみた。好きなことを仕事にすることについてや、やりたい仕事の見つけ方など、気になることが書いてあるのを見て、わたしはそのままレジに向かった。
自分にとっても気になる話だったし、最近子どもたちの将来について親ができることってなんだろうと考えていたこともある。
家に持ち帰って、家事育児の合間にちょろっと読み始めたら、気づいたら夢中で読み進めている自分がいた。
池上彰さん特有の、わかりやすい、ものすごくわかりやすい、言葉が、頭の中に沁み込んでいった。
これはとてもいい本だ。世の中で働くすべての人、いや、この世界で生きるすべての人のことを深く考えて作られた本だと思った。わたしが子どもに伝えたいことも、まさにそのまま書いてある。
そして、元SE、元フリーランス翻訳者、現在派遣社員の36歳の自分にも響くものがあった。
なぜなら、「自分にとって本当にやりたいことは何なのか」を常にわたしは追求していて悩んでいるからだ。
SEを辞めたことも、フリーランス翻訳者を辞めたことも、わたしにとっては考え抜いた結果の行動であり、後悔は全くしていない。むしろ、その時のベスト解が、「SE」や「フリーランス翻訳者」、「派遣社員(一般事務)」という名前で表される職業であったたけで、自分の中の奥深くでは、つながっている。
特に女性は、キャリアに「出産・育児」という要素が強く影響してくるので、「やりたい仕事」への道は、迷走しがちな気もする。男性だって同じように迷走しているのかもしれないし、女性だからということを言い訳にしているのかもしれないけれど。
この本では、その女性特有の家事育児と仕事の両立については詳しく言及されていない。でも、「やりたいことは早く見つけられなくてもいいんですよ。やりながら見つけていくことだってあるんですよ。まずは、挑戦してみましょうね」という、温かく心強いメッセージが、今のわたしにも深く響いた。
いわんや、まだまだ可能性に満ちた子どもにも。
いや、逆に、子どもはまだ可能性に満ちすぎて、この本はそこまで響かないかもしれない。でも、これから色々なことを考えていく年ごろになって、何かに悩んだときに、この本は間違いなく、何か大切なことを子どもたちに教えてくれる気がした。
だから、この本は、家の本棚に置いておくことにする。家の本棚に置いてある本って、子どもって、気づいたら読んでたりするから。人生について、説教がましくわたしが語るよりも、きっと、子どもが必要に迫られたときに読むほうが、ずっと心に響くんじゃないかと期待して。
なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと
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